余白をつくる場所「鳴子」 | Workations(ワーケーションズ)

自分の中に余白を。全国有数の温泉地「鳴子」で味わう「湯治ステイ」

今回は、宮城県の鳴子温泉郷の中の東鳴子温泉にある「旅館大沼」という120年続く湯治宿5代目の湯守大沼様と、鳴子温泉の森林や自然資源を活用した、アクティビティや学びの場を提供する「鳴子温泉もりたびの会」の齋藤様に鳴子でのワーケーションのあり方について話を聞いてきました。

自己紹介

ーこんにちは。まずはお二人の自己紹介をお願いします。

大沼さん(以下「大」):宮城県にある東鳴子温泉というところで「旅館大沼」という120年続く湯治宿の5代目の湯守をやっている大沼です。

齋藤さん(以下「さ」):齋藤 理(さいとう おさむ)と申します。鳴子温泉の森林や自然資源を活用したアクティビティや、学びの場を提供する「鳴子温泉もりたびの会」という団体で活動しています。

2008年からワーケーションに取り組みはじめる

ーでは早速ですが、コロナによって鳴子の観光客はどうなりましたか?

大:やはり状況はよくないです…。昨年は4月と5月の2ヶ月間は休館し、今年は毎日開けてますが昨対でいうと半分くらいのような状況ですね。

ーもりたびの会はいかがですか?

さ:僕らは活動を始めてから短いので比較はあまりできませんが、それでも常連さんで来てくださっていた方々はやはり多少足が遠のいている感じはあります。自然体験ということであまり影響ないかなってちょっと楽観視してたところがあったんですが、やはり状況が緊急事態宣言となると、ちょっと変わりましたね。

ーではワ―ケーションとして来る方々も減っていますか?

大:個人のお客様が大多数なので、ワ―ケーションされているかどうかは正直分かりません。でも、うちは湯治をしながら館内どこにいても仕事ができる環境を2008年から整えていて、Wi-Fiを全館に巡らせています。なので恐らくお部屋で仕事をしてると思いますが…表立ってワーケーションということは分かりません。

ー2008年からということは10年以上前から旅館でワ―ケーションされる方が結構みられたんですか?

大:私自身が10年以上前からネットがない環境下で宿泊や滞在するのが考えられない時代になっているなと感じていたんです。ですからお客様の利便を図るという想いで整えました。そこで映画観ているのか仕事をされているのかは分かりませんが、いずれにせよ通信環境を整えるということは非常に大事だと思い続けてきました。

ー大沼さんがそのように考えるようになったきっかけはありますか?

大:考えればもう30年以上前から考えていたことなんです。こうゆう温泉地とかリゾート地で仕事ができればいいかなとずっと思っていたんですけど、当然当時はそんな風潮もなく…。

今回このコロナウィルスがきっかけで、ようやくリモートワークだったり観光地や温泉地でも仕事もできる”ワーケーション”という考え方が出てきて、もう通信がないと困る世の中になってきてるってことですよね。あえてデジタルデトックスしに来られるなら別ですけどね。特に湯治というのは”滞在する”ということで時間が長いので、ネットを繋ぎたい時に繋げられるということは必須の条件だと思っていました。

余白をつくる場所「鳴子」

ーでは次に湯治の魅力を教えてください!

大:自分を振り返る時間が生まれるというのが1番の魅力だと思っています。

観光だと何かを見たり食べたり楽しんだりと外のものを入れていくというイメージがあると思いますが、湯治は刺激を求めるのではなく逆に温泉に入って自分を空っぽにします。そして自分の中に知らず知らず溜め込んだもの吐き出していって新しいエネルギーを温泉で入れていってほしいです。

この間齋藤さんがみらい湯治塾というものをプロデュースしてくださって、その中で「自分の中に”余白”をつくる」という言葉で表現をしたら結構評判が良くて(笑)。余白がないんですよね、今の生活というのは。真空を嫌うように次々と予定が埋まっていくなかであえて”余白”を作っていくことでそこで初めて発想が生まれたり自分に対する振り返りをすることができる。それって改めて時間を取って温泉等に入らないとできないことだと思います。

ー齋藤さんは湯治や大沼さんの温泉について何か感じることがありますか?

さ:温泉って硫黄の香りとか色がついているとかお湯がトロトロするとか様々な泉質や特徴・個性があります。大沼さんの温泉は言ってしまえば温泉というより”森”なんです。

鳴子温泉の地下は、古代の森が火山灰にサンドイッチされた構造になっています。その古代の森を通ってお湯がやってくるのが特徴なんです。特に大沼さんの温泉は昔の古い森のエッセンスが凝縮されたお湯が出てきているので、お風呂の浴槽は石作りのはずなのになぜか木の香りがして落ち着くんです。

温泉で”余白”を作った後街に出掛けたり森に行ったりして、その”余白”の中で「時間をたのしむ」というところの役割をもりたびの会が担えるところなのかなと思っています。

古道を歩きたいとか近場の森を歩きたいとかちょっと高いところで山登りをしたいとかニーズは様々なので、それに合わせて森を案内することが僕たちの任務だと思っています。

ー女性に特化した湯治のメリットってありますか?

大:温泉で本当に肌がしっとりすると高評価を頂いています。

というのも、森の化石を通ってきた温泉の成分が重曹なので、肌の表面の汚れを落としてくれて肌に水分を浸透させてくれる”クレンジングのお湯”と言われています! さらにそこに古代の植物エキスがじわ〜っと効くので、こんな贅沢でお肌へのご褒美はないんじゃないかなって。

それから、アジールという女性の一人旅をターゲットにしたプランを作っています。

アジールというのは一種の”避難場所”という意味です。

今は男女雇用平等促進法ができて徐々に男女平等になってきていますが、まだまだ男性社会は根強くて、その中での生きづらさを女性は敏感に感じていると思います。

だから何か自分をリリースするという方法の一つである”女性の一人旅”というジャンルが非常に注目されていると思っています。

私たちはこのプランを通して「ここは逃げ込んでもいい場所だよ。安心安全だよ。そしてお湯が沸いてますよ。」という安心感も提供したいと考えています。

ー具体的にアジールプランはどういったプランか教えてください。

大:忙しい故に1泊だけになってしまうと湯治のエッセンスというのは中々伝えづらいので私が提唱している現代湯治(最低2泊以上)の想いを込めたプランです。なので2泊3日~というプラン設計になっています。通常は14時からのチェックインですが、11時からアーリーチェックインができて、新しく作ったラウンジを使って仕事をしたり温泉に入ったり自由に過ごせるところが特徴です。ラウンジは地元の杉材を使い天然素材の気持ちの良い空間となっています。もちろんWi-Fiも高速なタイプを導入しています。

ー女性の一人旅で訪れる方はやはり”余白”を求めて来る方が多いですか?

大:本当にのんびり過ごされる方が多いです。来てジョギングするという方はほとんどいませんね。お部屋からもそんなに出てこないです。お風呂入ってお部屋で休む、食事の時間になって食べてまた休む。あまりアクティブに過ごすようなイメージはないです。

ここで私の考えとしては”無理にパフォーマンスをあげない”ということが重要かなと思っています。なぜかというと、元々湯治は”癒し”なのでそこに無理やり仕事を入れるというのはとても相反する概念なんですよ。なので、割合的に癒し8割仕事2割の感じでいいかなと僕は思っています(笑)。まぁそうは言ってもパフォーマンスを上げるためのワーケーションもあってもいいとは思っているので、それに特化したところに行けばいいなと思っています。鳴子のように自然が豊かでお湯が良くて静かでのんびりして、逆にいうとなんかすることないなみたいなところは湯治をメインにして、でも仕事もしたいときはサクサク出来るという場所を求めている人が来ていただければと思っています。

ーなるほど。湯治の魅力って無限大ですね! では次にもりたびの会についてももう少し詳しく教えていただけますか?

さ:もりたびの会は従来の観光の形から自然とか鳴子の環境資源を活かした旅作りをしていこうという想いで作られている業態です。鳴子の宿屋さんだったり飲食の方だったりこけしの工人さん、漆器の職人さん、クラフトの作家さん、あとは森を作っているきこりの方々や製材をしている方々などが中心になって取り組んでいます。

”もりたび”という名前の通り、森で遊ぶトレッキングのプランだったり、古道を歩くような旅のプランがあります。あとはバイオマスのエネルギー事業(山で取れたものがそのままエネルギーになって住宅に供給される)が鳴子では行われているんですが、これって日本で初めての取り組みなんです。その視察の受け入れもやっています。

ーワーケーションのバケーション部分のところがもりたびの会で充実するんですね!

具体的にはどういったアクティビティが体験できるのか教えてください。

さ:さきほど言った古道を歩くプランだと、奥の細道で有名な芭蕉が歩いた古い道”出羽仙台街道”が鳴子の奥の中山平〜山形の県境の堺田のあたりまでそっくりそのままの形で残っているので、その街道を3時間位かけて歩いていきます。そこで森のお話をしたり歴史のお話をしたり、時に沢があって靴を脱いで裸足で渡ったりしながら3時間くらいかけて旅をして、帰りは鉄道に乗って帰ってくるという感じです。

ーそれは女性一人向けですか?それとも家族向けですか?

さ:古道プランは大人の方がグループで集まって参加するというのがメインとなっています。家族でこられた方は宿でお父さんかお母さんのどちらかがお仕事してる間にお子様を連れて森で遊ぼうとなった時に近くの森で木の話をしたりするようなことはやってます。

ーでは、お子様向けのアクティビティもやっているということなんですか?

さ:今毎月第3土曜日に試作でやっているのが「親子で森遊び」というプランです。

こども園の園長先生も参加されてやっているんですけど、地元の子供たちや仙台からお越しになった親子が森で遊ぶ場を作っています。一緒に森を歩いて材料を集めて切ってちょっとしたクラフトやったり、冬だと裏山の楓の木から樹液を集めて煮詰めてメープルシロップを作ったり。学びながら森で遊ぶというのを親子でできるように整えています。

※写真提供:齋藤理氏

ーこども園とはなんですか?

さ:もともとは地元の幼稚園なのですが、それをワーケーションで親が仕事をしている間に子供を預けることができる預かり保育のようなものです。今年度仮園舎の建て替えがスタートしているので、あと2~3年ぐらいで本格的にスタートできると思います。

ーそれは親側からしてもとても嬉しいサービスですね!

大:山村留学のような感じですね。森があってお湯があって、実際に触れられるものがあるっていうのは田舎にしかない環境なので、そこをしっかりと伝えられるように環境を整えて周りから人が集まって教育の先進地を目指したいというのが背景にあります。

鳴子は温泉百貨店! ワーケーションがおすすめな理由

ーではズバリ!鳴子でのワーケーションのおすすめポイントをお二人からお願いします。

大:まずはここは「温泉天国」です。日本にあるほとんどの種類が鳴子にはあります。ですから全国の温泉を回らなくても鳴子に滞在してれば本当に色々な温泉を味わうことができます。だから温泉好きの方は鳴子でワーケーションは本当におすすめです。

ー全国の温泉が出てるというのは、鳴子の特質なんですか?

大:炭酸泉とか硫黄泉とか日本に10種類ある泉質のうち8種類までがここ鳴子にあります。

さ:不思議なところなんですが学術的な研究はされてないんですけど。

(写真を見せながら)これくらい色も泉質も違うんですよ。

※写真提供:齋藤理氏

ー本当だ!全然違いますね!

さ:面白いところだと、10mしか離れてない隣同士の宿で、片方はシルキーな濁り湯、隣は緑色、というくらいに全然違いますね。地下がもう温泉のパラダイスというかデパートというか(笑)

大:温泉百貨店ですね(笑)

ー温泉百貨店ってすごくパワーワードですね。他にもおすすめのポイントはありますか?

大:鳴子は国民の健康に良好な温泉地を環境省が定めた”国民保養温泉地”に指定されています。それほどここは良質な温泉が出て国民の健康に役立つ温泉なので、温泉好きの方やそうでない方にもここで気になるところを整えていただきたいです。

また街場の温泉ではなく自然の中にある温泉地なので、自然を感じ体験しながら仕事ができることはすごく大きいんじゃないかなと思っています。お水も美味しいですし、周りには農家さんや林業家もいるので農林業体験もできたり、非常にコンパクトにまとまっているところかなと思います。

さ:国民保養温泉地って保養の場だから辺鄙が静かなところが選ばれがちなんですけど、鳴子は国民保養温泉地なのに鉄道が通っているところがとても珍しくそこもポイントですね。東京からも電車で3時間ぐらいだし、仙台からの距離も近いということで、車を持っていない方でも気軽に来られる国民保養温泉地ですね。

あとマニアックな森の話になってしまうんですけど(笑)、ブナの木で作られた森が駅から徒歩20分ぐらいのところにあるんですが、本当はブナの木って結構深い山に入らないと生えてない木なんです。けど鳴子だと深い深い山の中に行かなくても手軽に手付かずの自然に触れられるところもポイントです。そういうブナの森があったり、また香りがよくて歩くだけでリラックスできる杉の森があったり楓の森があったり森に入ってみると所々で生えている木が全然違って雰囲気も違うので違いを感じるのも楽しいですよ。四季折々で紅葉した時に木によって葉っぱの色も変わるので、またそこも季節によって同じ場所でも見え方は全然変わってきます。

僕のおススメとしては灯りが少ないので星や月が綺麗に見えます!!なんだか月並みなことかもしれないですけど、東京や仙台で夜空を見上げても明るくて何も見えなくて、日常的に星が見えるって贅沢なことなんだなと改めて思うことがあって。そういう静かな夜を愉しめるというのも魅力の一つかなと思います。

大:ワーケーションをきっかけに鳴子や湯治文化を知ってもらいたいです。個人だけはなくて企業様やグループでのワーケーションでも是非使っていただいて、地域の方と交流したり自然を楽しんでもらえたらなと思います。

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百年ゆ宿 旅館大沼

大崎市

鳴子温泉字赤湯34

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